ピーターパンシンドロームの男をめぐって
妊婦たちの夢と悪夢が交差する
京都にネバーランドが実在した!
*注…一応会話劇です
主人公は町場のバーを営むバーテンダー・ピコリ。絵に描いたようなだめ男。 バーの経営は思わしくないが、暇なのをいいことに趣味の小説ばかり書いている。 その小説で文学賞を取り、印税生活を目論んでいるのだ。また、毎日学校を抜け出し やってくる地元の高校生二人に酒を飲まし、たわいもない話に花を咲かせている。そんな日常。
そんな彼を見て妻ベロニカは、毎日のように「現実を見ろ」と叱咤し、なんとかバーの経営を 成り立たせようと必死である。もうすぐ二人の間に子供が生まれる。ベロニカは妊娠中であった。
しかし同時に、ピコリはアルバイトの町子と不倫をしており、町子を妊娠させてしまっている。 町子は、ピコリにベロニカと別れてほしいと迫る。
ある時、バーに見知らぬ妊婦メルヘンがやってきた。
聞くところによると彼女は腕利きの編集者であり、ピコリがインターネットで更新している小説を 読み、それを自ら出版したいと考えているらしい。
大人になれないピコリをめぐって妊婦達の希望と絶望、夢と悪夢が、錯綜する。